十二色出版

空の青さが、色を活かす

十二色の……はじまり

どちらかを選べといわれたら、選べない。

両方のよいところをまぜたい、かけあわせたい。

正+反=合もいいけれど、何が正で、何が反か、決めつけると視野が狹まっちゃう。

大事なのは + =

+ = を見ていたら、十二(じゅうに)に見えてきた。

十二色の言の葉が、人の間を流れます

赤は感情・熱意。気持ちを前に出す。
寒いとき、とりあえずあたたまりましょう。会話も同じ。雑談や話のまくらも大事です。みんなに種火がいきわたるように。ディスカッションでは、場があたたまる着火剤です。そして、たきびのように、みんなで何かを囲めるとOK。誰かを囲むのではなく、何かを場に置きます。ことを場に置く、言葉です。

ありがちなのですが、人を場の中心にしようとしてしまうと、居場所のある人は黄や緑になって心地よくなる一方で、居場所ができにくい人は黒になりがちです。誰かではなく、何かを囲みましょう。どこに火をつけるか、赤の着眼点、着火点が試されます。青や白の力をうまく借りて、ねらいを定めましょう。

黒は批判的姿勢。反対やデメリット。
否定が前面に出ると攻撃的に見えてしまいます。ディスカッション教育では、黒は控えめにというのが基本です。

しかし、自分本位の一人称視点や、他者を否定したい視点ではなく、課題に真剣なあまり、利他(りた)のつもりということがあるかもしれません。うまく使うと、ほかの色を鮮明に浮かび上がらせることもできます。足りないところに気づいてフォローできる、黒子の助けです。

白は客観的視点。事実確認や中立性。
さまざまな意見を広く俯瞰(ふかん)します。聞き上手で目くばりのできるサブリーダー適性高め。でも、周囲がざんねんな人たちだとあきらめモードに。

白の強力アイテムは、ホワイトボード。文字や図を書いて、見える化します。人と、人とで、一緒に何かを見て話せる「三項」の察し合う協力姿勢を引き出せるよう、そのバランスの良さを発揮してください。白い紙でもできます。字を大きく。人からも見えるように書くのがコツです。授業のノートをとること以外でも、文字を書きなれていきましょう。

緑は創造・提案。アイデアや着想。
いろいろ見て聞いて考えて……、ためてたくわえて……、雑談して……、アイデアが自然に湧く泉ができます。

ところが、自分が出したアイデアで気持ちよくなってしまうと、どんどん加速してしまい、ひとりで先へ行ってしまうことも。そのとき「ほかの人が、遅いから」と言うのはマナー違反です。自分が話したことに影響を受けて、話すことが変化したり、自分で書いたことに左右されて、書くことが走りすぎてしまうことも。

場の全体に言の葉を流す回路ができてきてから、たっぷりのアイデアをかけ流すのは贅沢ですが、浴槽がない川原で温泉を次々に掘っても、つかる場所がないのです。でも、貴重な源泉ですから、自信はなくさず、他者との循環を意識してみては、と思います。

黄は肯定的姿勢。良い反応。協力。
場づくりにも、安心にも、とても大事。人に求めてばかりではなく、小さくてよいからみんなで。黄色い場をつくりましょう。

企画も、おしゃべりも、ディスカッションも、まずは「安心・安全」がキーワード。みんなが自由に意見を言えるようにするには、その前に、そこにいる人、みんなの「安心」を大事にすることです。不安や不快さは口にすることがためらわれ、言いにくいこともあります。言葉だけがすべてではないのですが、あたりまえのような大事なことを言葉にして、大事なことは大事だと場に置くことも、じつは黄色です。

青は構造・整理。プロセスとまとめ。
最初から答えや結論のある、形だけの話し合いではなく、正解のない多彩な場や、アイデアを場で練って昇華していく場を経験すると、力がつきます。

また、世の中の物事の中にあるプロセスを見つけるのが得意なのも、青。世の中にすでに出回っているプロセスを借りてきて使うこともできる器用さもあるでしょう。しかし、さまざまな色の要素が場にあるとき、その中から新たなプロセスを見つけることもできる「統合」の力こそ、青の本質かもしれません。

紫。むらさき。高貴さや王家などのイメージ色。しかし、孤高を気どっていると話し合いになりません。本当はやさしい……というか、ほかの色を引き立てるのも上手。

色を、ひとつだけで使うのではなく、組み合わせて活かすのもいいですね。たとえば、紫・白・緑の配色はサフラジェットジュエリーの色づかいです。

「いろいろ」とか「カラフル」なんていう色はありません。便利な言葉で、ごまかさないで。だまされないで。ちゃんと、いろいろな色があることを具体的に、個々に理解したうえで、活かし合えたら。イエローでホワイトでちょっとブルーは、イエローでホワイトでちょっとブルー、なのです。

みんな違う色で、それがいい、と言っているだけでは、絵に書いた花です。助け合っていないし、うまくいえませんが、並びはおさまっていても仲良くはないのです。それもきれいですが、仲良いほうが、いいです。安心できるから。

そして、共存して、土に根をはっていく感じも生命力があっていいなと思いますし、ちょっとはみだしてもしゃがんでもいいので、生きている木や草に咲いた、その折々の季節の花を見たいのです。

そして、余白があるから、自由な想像がふくらみます。

基本の「6色」に、どういう色が加わって「12色」になるのか。楽しみです。